登録販売者試験 #29胃腸薬❸

yamadap1984@

【第3回】健胃薬と消化薬のはたらき―胃腸を整える成分を整理しよう

前回までで、胃酸を抑える「制酸薬」の特徴と配合成分を見てきました。今回は、胃の働きを高める健胃薬(けんい)と、消化を助ける消化薬(しょうかやく)、そして消化を促進する利胆成分(りたん)についてまとめます。

1. 健胃薬とは?


健胃薬は、「胃の働きが弱っていると感じるとき」に使われる薬です。刺激や香りなどで胃の運動や胃液の分泌を促すことが目的です。

主な成分とその特徴

分類成分例特徴
苦味による健胃オウバク(黄柏)、オウレン(黄連)、センブリ(千振)、ゲンチアナ、リュウタン(竜胆)、ユウタン(熊胆)
苦味で胃を刺激し、消化液の分泌を促進します。
香りによる健胃ケイヒ(桂皮)、コウボク(厚朴)、ショウキョウ(生姜)、チョウジ(丁香)、チンピ(陳皮)、ソウジュツ(蒼朮)、ビャクジュツ(白朮)、ウイキョウ(茴香)、オウゴン(黄芩)芳香成分が胃を刺激し、蠕動運動を活性化します。
味や嗅覚刺激以外カルニチン塩化物など胃酸分泌を促す・胃の運動を高める循環血流の改善など、さまざまな作用があります。

注意点
• オブラートなどで包むと香りや味の刺激が弱まり、効果が十分に発揮されない可能性があります。

再び我が家の常備薬であった太田胃散に登場していただきます。成分表を見ると…

スーッとする香りだったり、苦み成分で胃の動きを活発ににするような生薬が配合されています。

2. 消化薬とは?


食べたものの消化を補助する薬で、特に炭水化物・脂質・たんぱく質・繊維質の分解を助ける目的で使われます。

主な酵素成分

成分名作用の対象
ジアスターゼ、タカジアスターゼ炭水化物の分解を助ける
プロザイム、ニューラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ビオヂアスターゼ各種消化酵素として、脂質・たんぱく質・繊維質の消化を助ける

ジアスターゼは大根の根の方に多く含まれている成分です。

3. 利胆成分とは?

「胆汁の分泌を促進し、消化を助ける」目的で使われる成分です。胆汁は脂質の消化に関与しているため、これらの成分は脂肪食が多い人や脂っこいものを食べた後などに効果的です。

主な利用胆成分

成分名特徴
胆汁末(たんじゅうまつ)胆汁の分泌を促進します。
動物胆(ユウタンを含む)消化の補助として期待されます。
ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸胆汁の流れを助け、脂質の消化を改善します。

生体での胆汁も脂質の分解を助けるリパーゼなどの酵素を含みますが、加齢により、その分泌も減少していきます。そのため胃もたれ腹部膨満感などを感じやすくなっていきます。それを薬として補うものになります。

注意点
• **肝臓に病気のある方(肝臓病の診断を受けた人)**は、これらの成分で症状を悪化させるおそれがあるため、使用前に医師に相談する必要があります。


まとめ

健胃薬・消化薬・利胆成分は、胃腸の機能をサポートする重要な薬です。それぞれの成分の特徴や働きを知っておくことで、症状に合わせた適切な選択ができるようになります。特に、高齢者や持病がある方では注意点をしっかり把握して使用しましょう。

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