登録販売者試験#83医薬品の安全対策
副作用情報の集め方と日本の制度
「その薬、本当に安全?」という不安から始まる医薬品安全対策
薬は私たちの健康を守る一方で、副作用や予期せぬ健康被害を起こす可能性もあります。
だからこそ世界中で「医薬品の安全対策」が重要視されてきました。
この記事では、
- 医薬品の副作用情報はどうやって集められているのか
- 日本ではどんな報告制度があるのか
- 医療者・企業にはどんな義務があるのか
に注目して書いていきます。
医薬品の安全対策の基本
なぜ制度が必要なのか
医薬品は、承認時点ですべての副作用が分かっているわけではありません。
実際に多くの人が使うことで初めて分かるリスクもあります。
そのため、
- 使用後に起きた副作用を集める
- 情報を評価し、必要なら対策を取る
という「市販後の安全対策」が欠かせません。
世界共通の仕組み
WHO国際医薬品モニタリング制度とは
サリドマイド薬害事件がきっかけ
1961年(昭和36年)、サリドマイド薬害事件をきっかけに、
医薬品の安全性は「一国だけの問題ではない」と認識されるようになりました。
WHOが中心となった副作用情報の共有
1968年(昭和43年)、
WHO(世界保健機関)加盟国が連携し、各国が副作用情報を収集・評価する仕組みとして
「WHO国際医薬品モニタリング制度」が確立されました。
▶︎世界中で副作用データを共有することで、被害の拡大を防ぐ目的があります。
【過去記事】サリドマイド (薬害)
日本の柱①|医薬品・医療機器等安全性情報報告制度
この制度の目的とは?
この制度は、
医薬品や医療機器の使用・販売の現場に直接関わる人から広く情報を集めることで、
より確実な安全対策を行うことを目的としています。
誰が報告する義務を持つの?
- 薬局開設者
- 医療関係者
これらの人が、
副作用によると疑われる健康被害を知った場合、
- 保健衛生上の危害が発生、または拡大するおそれがある
- 拡大防止措置を講じる必要があると認めたとき
には、厚生労働大臣へ報告する義務があります。(法68.10.2)
日本の制度はこう進化した
安全性情報報告制度の歴史
医薬品副作用モニター制度の始まり
- 1967年
約3000の医療機関をモニター施設に指定
厚生省(当時)が直接、副作用報告を受ける制度を開始
一般用医薬品へ拡大
- 1978年
約3000のモニター薬局から
一般用医薬品(OTC医薬品)の副作用情報を定期的に収集
現在の制度へ
- 1997年
「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」として拡充 - 2002年
医師・薬剤師など医療関係者の副作用報告が義務化 - 2006年
登録販売者も報告義務の対象に追加
日本の柱②|企業(製造販売業者)からの副作用報告制度
企業にも重い責任がある
製薬会社などの製造販売業者は、
- 医薬品の市販後も
- 品質・有効性・安全性に関する情報を集め続ける
責任があります。
報告しなければならない内容
製造販売業者は、
- 副作用によると疑われる健康被害
- 使用によると疑われる感染症
を知った場合、
定められた期限までに厚生労働大臣へ報告しなければなりません。(法68.10.1)
医療者は情報収集に「協力する義務」がある
薬局開設者や医療関係者は、
製造販売業者が行う安全性情報の収集に協力する努力義務があります。
▶︎安全対策は「報告する人」だけでなく、関わるすべての人の連携で成り立つ仕組みなのです。
生物由来製品は特に注意
感染症定期報告制度
生物由来製品とは?
- 血液製剤
- ワクチン
- 生体由来成分を使った医薬品
などが該当します。
定期的な安全性評価が義務
製造販売業者は、原料や材料について
- 最新の論文や知見をもとに
- 感染症リスクや安全性を評価し
その結果を定期的に厚生労働大臣へ報告しなければなりません。
その他の重要制度
医薬品の再審査制度
ダイレクトOTC医薬品が対象
既存の医薬品とは明らかに異なる有効成分を含む
「ダイレクトOTC医薬品」には、再審査制度が適用されます。
再審査のポイント
- 承認後、おおむね8年間
- 使用成績を企業が収集
- 厚生労働省へ提出し評価を受ける
▶︎市販後の実データで安全性を確認する仕組みです。
医薬品の安全性調査(スイッチOTC)
スイッチOTC医薬品とは?
医療用医薬品として使われていた成分を、
初めて一般用医薬品に配合したものです。
承認後も調査が必要
- 承認後おおむね3年間
- 安全性調査と結果報告が義務
さらに、要指導医薬品についても
承認後一定期間、同様の報告が求められます。
まとめ|医薬品の安全は「使った後」からが本番
医薬品の安全対策は、
- 承認前だけでなく
- 市販後の情報収集と報告
- 世界・国・医療者・企業の連携
によって支えられています。

