消化器系(後半)|小腸・大腸・肛門と肝臓・胆嚢・膵臓のはたらき
消化器系の前半では、口腔から胃までの構造とはたらきを整理しました。
この記事では後半として、小腸・大腸・直腸・肛門の消化管に加え、消化と代謝を支える肝臓・胆嚢・膵臓のはたらきを解説します。
小腸・大腸・肝臓・胆嚢・膵臓は、消化・吸収・解毒のために連携して働いています。これらの臓器の役割を知ることで、消化器系の不調や薬の選び方に役立てることができます。
登録販売者試験の学習内容をベースに整理しましたが、体の仕組みや内臓の働きに関心のある方にも、お役立てていただければ幸いです。
1. 小腸のはたらき
小腸は長さ6〜7mの管で、主に3つの部位に分かれます。
小腸の3区分
- 十二指腸:胃とつながるC字型の最初の部分。胆汁と膵液が分泌される
- 空腸:小腸全体の約40%
- 回腸:小腸全体の約60%。パイエル板という免疫組織がある
空腸と回腸の内壁には微絨毛が密生していて、栄養素の吸収を行います。
脂質の消化と吸収
トリグリセリド(TG)はリパーゼ(消化酵素)により脂肪酸とグリセリンに分解され、小腸粘膜細胞より吸収されます。吸収後は再合成されてトリグリセリドに戻ります。
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は脂質と一緒に吸収されます。
吸収のしくみ
小腸の内壁は「絨毛」「微絨毛」で覆われ、表面積が大きくなることで効率的に栄養素を吸収できます。
脂質はリパーゼなどの酵素で分解され、「乳状脂肪(カイロミクロン)」として吸収されます。
2. 消化酵素のまとめ
食べたものを体に取り込むには、分解して吸収できる状態にする必要があります。これを助けるのが消化酵素です。
| 酵素 | はたらき | 分泌場所 |
|---|---|---|
| トリプシン | 半消化されたタンパク質をアミノ酸まで分解 | 膵臓(トリプシノーゲン→十二指腸でトリプシンに変化) |
| アミラーゼ | 炭水化物(デンプン)を分解 | 唾液腺・膵臓 |
| リパーゼ | トリグリセリドを脂肪酸・グリセリンに分解 | 膵臓 |
| マルターゼ | 麦芽糖を分解 | 小腸 |
| ラクターゼ | 乳糖を分解 | 小腸 |
| スクラーゼ | しょ糖を分解 | 小腸 |
3. 膵臓のはたらき
膵臓は胃の後ろにある器官で、十二指腸に膵液を分泌します。
外分泌と内分泌の違い
- 外分泌:消化管に分泌される(膵液など)
- 内分泌:血中や臓器に直接分泌される(ホルモンなど)
膵臓は外分泌・内分泌の両方の働きを持つ器官です。
膵液に含まれる消化酵素(外分泌)
- トリプシノーゲン(タンパク質分解)
- アミラーゼ(炭水化物分解)
- リパーゼ(脂質分解)
膵臓から分泌されるホルモン(内分泌)
| ホルモン | はたらき | 分泌する細胞 |
|---|---|---|
| インスリン | 血糖値を下げる | β細胞 |
| グルカゴン | 血糖値を上げる | α細胞 |
| ソマトスタチン | インスリン・グルカゴン両方を抑制 | δ細胞 |
4. 胆嚢のはたらき
胆嚢は肝臓で作られた胆汁を一時的に蓄えて濃縮する袋状の器官です。食物が十二指腸に入るとコレシストキニンが放出され、胆嚢が収縮して胆汁を分泌します。
胆汁のはたらき
- 胆汁酸(コール酸、デオキシコール酸塩類)が脂肪の消化を助ける
- 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収に必要不可欠
- 胆汁は小腸で再吸収されて肝臓に戻る(腸肝循環)
- 古くなった赤血球や過剰なコレステロールを排出する
ビリルビンについて
胆汁にはビリルビンという色素も含まれています。これはヘモグロビンの老廃物で、腸内細菌により代謝を受けて茶褐色に変化します。
5. 肝臓のはたらき
肝臓は体内で最大の臓器で、横隔膜のすぐ下に位置します。働きは非常に多岐にわたります。
栄養の代謝・貯蔵
- 糖質代謝:ブドウ糖をグリコーゲンに変えて蓄える
- 脂質代謝:中性脂肪やケトン体の合成
- ビタミンの貯蔵:ビタミンA、D、B6、B12 など
有害物質の解毒
- アンモニアを尿素に変換
- アルコールを分解
- 薬物や化学物質の解毒
生体物質の生成
- コレステロール
- 血漿タンパク(フィブリノゲン、アルブミンなど)
- 必須アミノ酸の合成
6. 大腸のはたらき
大腸は盲腸(虫垂を含む)→ 上行結腸 → 横行結腸 → 下行結腸 → S状結腸 → 直腸へと続く管状の構造です。
- 長さ・太さ:約150cm、内径約8cm
大腸の主なはたらき
- 小腸から送られてきた消化残渣から水分・電解質(Na⁺、K⁺、Cl⁻など)を再吸収 → 固形便形成
- 腸内容物を蠕動運動で直腸へ送る
- 腸内細菌(700種類以上)が発酵によって短鎖脂肪酸やビタミンK・B群を生成
7. 直腸のはたらき
直腸はS状結腸から肛門管直前までの部分で、長さは約12〜15cmです。
直腸のはたらき
- 便を貯蔵しつつ水分をさらに吸収 → 固形化を促す
- 広がることで排便刺激となり、神経反射が働いて便意を起こす
- 粘液を分泌し、便の滑りを良くする
8. 肛門管と肛門
- 肛門管の長さは約2〜4cm。直腸と外界を結ぶ最後の部分
2つの括約筋
- 内肛門括約筋:自律神経支配・不随意。便を送り出すために拡張する
- 外肛門括約筋:随意筋。排便タイミングを自分で調整できる
肛門のはたらき
- 括約筋によって便の排出をコントロール
- 肛門洞からの粘液分泌で排便をスムーズにする
- 痛み・熱・冷感など外界刺激を感知する神経が豊富
補足|センナ・センノシド・ダイオウ配合薬の注意点
便秘薬やダイエット目的の漢方として知られるセンナ・センノシド・ダイオウは、腸内で分解されることで腸を強く刺激し、排便を促す「刺激性下剤」の代表成分です。
即効性がある反面、連用による「クセ」や「薬剤性便秘」のリスクが非常に高いのが特徴です。
- センナには「センノシド」という成分が含まれる
- 腸内細菌によって分解されて作用が発現する
- 下剤として使う場合は、適切なタイミング・間隔での使用が必要
便秘薬を日常的に服用している人は、使用状況を見直し、生活習慣の改善や医師への相談も選択肢に入れましょう。
補足|受診勧奨|吐き気や激しい腹痛がある場合
市販薬では対処できないケースがあります。胃腸以外の臓器が原因のこともあるため、自己判断せず病院受診を優先すべき場合があります。
こんな症状は受診を
- 次第に痛みが強くなる、または30分以上強い痛みが続く
- 吐き気だけでなく下痢や血尿、排尿困難などを伴う
- 小児が「へその周りが強く痛い」と訴える(虫垂炎の初期症状の可能性)
子宮外妊娠・胆石症・腸閉塞・虫垂炎・急性膵炎など、胃腸以外の臓器からくる腹痛の可能性もあり、市販薬が逆に診断を遅らせてしまうことがあります。
補足|肝臓と二日酔い
二日酔いの原因は、アルコールが分解された際にできるアセトアルデヒドです。肝臓がこれを分解しきれないと毒性が残り、吐き気や頭痛の原因になります。
また、胆道が詰まってビリルビンが血中にとどまると、皮膚や白目が黄色くなる「黄疸」の原因にもなります。
試験で押さえるキーワード(直前チェック用)
小腸の3区分
→ 十二指腸・空腸(約40%)・回腸(約60%)。回腸にパイエル板
カイロミクロン
→ 脂質がリパーゼで分解された後の「乳状脂肪」
脂溶性ビタミン
→ A・D・E・K。脂質と一緒に吸収される
外分泌と内分泌
→ 外分泌=消化管へ/内分泌=血中・臓器へ
膵液の3酵素
→ トリプシノーゲン(タンパク質)・アミラーゼ(炭水化物)・リパーゼ(脂質)
膵臓の3ホルモン
→ インスリン(血糖↓)・グルカゴン(血糖↑)・ソマトスタチン(両方抑制)
胆嚢
→ 胆汁を濃縮・貯蔵。コレシストキニンで収縮。腸肝循環
ビリルビン
→ 胆汁の色素。ヘモグロビンの老廃物
肝臓の3大機能
→ 栄養の代謝・貯蔵/有害物質の解毒/生体物質の生成
大腸の役割
→ 水分・電解質の再吸収、腸内細菌による発酵(ビタミンK・B群生成)
肛門の2つの括約筋
→ 内(自律神経・不随意)/外(随意筋)
センナ・センノシド・ダイオウ
→ 刺激性下剤。連用で薬剤性便秘のリスク
参考資料
※この動画はNotebookLMで作成した解説動画です。自動生成のため日本語が少し不自然な部分もありますが、学習の理解を助ける参考資料としてご覧ください。
公開日:2025年6月29日
最終更新日:2026年4月21日

