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登録販売者#6 体の仕組み①消化器系(後半)

yamadap1984@

私たちが食べたものは、体内でさまざまな酵素や器官によって分解・吸収され、必要な栄養として利用されていきます。ここでは、その中でも重要な「膵臓・胆嚢・肝臓」の働きと、関わる消化酵素などについてわかりやすく解説します。
消化酵素の種類と働き
食べたものを体に取り込むには、分解して吸収できる状態にする必要があります。これを助けるのが「消化酵素」です。

トリプシン:膵臓から分泌されるトリプシノーゲンが十二指腸液の酵素でトリプシンに変化。
ペプチダーゼで半消化されたタンパク質をアミノ酸まで分解
リパーゼ:トリグリセリドを脂肪酸やグリセリンに分解
マルターゼ:麦芽糖
ラクターゼ:乳糖
スクラーゼ:しょ糖

膵臓の役割

膵臓は胃の後ろにある器官で、十二指腸に膵液を分泌します。膵液には以下のような酵素が含まれます:

※この様に消化管に分泌されるのを外分泌といいます。それに対比し、血中や臓器に直接分泌されるのを内分泌と言い分けます。

トリプシノーゲン(タンパク質分解)
アミラーゼ(炭水化物分解)
リパーゼ(脂質分解)

また、膵臓には「内分泌腺」の役割もあり、以下のようなホルモンを分泌します。

インスリン:血糖値を下げるβ細胞
グルカゴン:血糖値を上げるα細胞
ソマトスタチン:インスリン、グルカゴンどちらも抑制。δ細胞

胆嚢の役割

胆嚢は肝臓で作られた胆汁を一時的に蓄えて濃縮する袋状の器官で、食物が十二指腸に入るとコレシストキニンが放出され胆嚢が収縮し溜められていた胆汁を分泌します。

胆汁には胆汁酸(コール酸、デオキシコール酸塩類)が含まれ、脂肪の消化を助けます。
脂溶性ビタミン(A・D・E・K)*の吸収にも必要不可欠。
胆汁は小腸で再吸収されて肝臓に戻る(腸肝循環)。

また、胆汁にはビリルビンという色素も含まれており、古くなった赤血球から分解された老廃物が由来です。

胆汁には古くなった赤血球や過剰なコレステロールが排出される。
また、ビリルビン(胆汁の色素)はヘモグロビンの老廃物でできています。それが腸内細菌により代謝を受け茶褐色に変色します。

肝臓の働き

肝臓は体内で最大の臓器で、横隔膜のすぐ下に位置します。働きは非常に多岐にわたります。
栄養の代謝・貯蔵

糖質代謝:ブドウ糖 → グリコーゲンに変えて蓄える
脂質代謝:中性脂肪やケトン体の合成
ビタミンの貯蔵:ビタミンA、D、B6、B12 など
有害物質の解毒

アンモニアを尿素に変換
アルコールを分解
薬物や化学物質の解毒
生体物質の生成

コレステロール
血漿タンパク(フィブリノゲン、アルブミンなど)
必須アミノ酸の合成
豆知識:二日酔いと肝臓
二日酔いの原因は、アルコールが分解された際にできるアセトアルデヒド。肝臓がこれを分解しきれないと毒性が残り、吐き気や頭痛の原因に。また、胆道が詰まってビリルビンが血中にとどまると黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)の原因にもなります。

用語チェック
ホルモン:体内の情報伝達を担う物質
インスリン・グルカゴン:血糖値調節ホルモン
必須アミノ酸:体内で合成できないアミノ酸(例:トリプトファン、リジンなど)

このように、肝臓・胆嚢・膵臓はまるで体の中の“化学工場”のように働いています。健康を保つためには、これらの働きを正しく理解し、負担をかけすぎない生活を心がけたいですね

吐き気や腹部の激しい痛みを伴う場合の受診勧奨

(自己判断せずに病院受診を優先すべきケース)

市販薬では対処できないことも!胃腸以外の臓器が原因のこともあります。

激しい吐き気や腹痛があると、「とりあえず胃薬で…」と自己判断しがちですが、それが思わぬ重症化を招くこともあります。次第に痛みが強くなったり、30分以上強い痛みが続く場合、吐き気だけでなく下痢や血尿、排尿困難などがある場合は、市販薬ではなく病院の診察が必要です。

たとえば、子宮外妊娠・胆石症・腸閉塞・虫垂炎・急性膵炎など、胃腸以外の臓器からくる腹痛の可能性もあり、市販薬が逆に診断を遅らせてしまうことがあります。

また、小児が「へその周りが強く痛い」と訴える場合は虫垂炎の初期症状であることも。市販薬を安易に使うのではなく、まずは医療機関での受診を第一に考えましょう。

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