登録販売者試験 #48 痔
										痔とはどんな病気?
- 肛門付近の血管が鬱血し肛門に負担がかかったことに起因する様々な病態。
 
(座りっぱなしのお仕事:よくタクシーの運転手さん等に多いと言われていましたが、最近はデスクワークも多いため職業関係なく起こり得ます。)
- 肛門の皮膚の薄い部分に沢山の細い血管が集まっています。座る角度により体重がかかり血流の悪化を招きます。血管がもろくなり修復されにくくなり悪循環になり治りにくくなるため、初期で見つけ治療を開始したい病気です。
 - 血流の悪化を招く喫煙や肥満は不良因子です。
 

痔には♪ボラギノールでおなじみのボラギノール(セルフチェックやってみてください)
痔の種類
•痔核(いぼ痔)
肛門の血管が拡張し、いぼ状の腫れができたもの。脱肛する事も
•内痔核:
直腸粘膜にでき、出血が主症状。痛みは少ない。
•外痔核:
肛門の出口付近にでき、血栓を伴うと強い痛み。
• 裂肛(切れ痔)
肛門出口の上皮に傷が生じた状態。排便時に激しい痛みと出血がある。
• 痔瘻(じろう)
肛門内部に肛門腺窩という窪みが出来、そこに便が残ったり、細菌が侵入し、化膿→治りきらないのがどんどん深く掘り進められて、膿が皮膚に通じたもの。激痛を伴う。
痔疾用薬の分類
・外用痔疾用薬:
痛み・かゆみ・腫れ・出血を緩和、患部の消毒を目的に使用。
→坐剤、軟膏剤、注入軟膏(中にも注入でき、外側にも使用できる)、外用液剤がある。
・内用痔疾用薬:比較的穏やかな抗炎症作用、血行改善作用。
肛門への負担を減らすため瀉下剤や、整腸薬も併用する。
・外用薬と併用すると効果的。
基本的には、肛門付近の血行不良が大きな原因なので、生活習慣の改善も必要です。

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外用痔疾用薬の主な配合成分

• リドカイン、ジブカイン、アミノ安息香酸、プロカインなど
→ 神経を麻痺させ痛みを和らげる。麻酔成分で、塗布部位の知覚を一時的に遮断する事で、痛みや痒みを和らげる。
まれにショック(アナフィラキシー)に注意。
•ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンなど
→ かゆみを抑える。
• クロタミン(温感)、メントール(冷感)、ハッカ油、カンフル
→緩やかな刺激作用で、血行促進やかゆみ抑制。
(ステロイド)
• ヒドロコルチゾン酢酸エステル、プレドニゾロン酢酸エステル
→ 炎症・腫れを抑える。長期連用は避ける。
体内でステロイドに似た働きをする。
• 比較的穏やかな抗炎症作用。
•アラントインなど
→ 肛門部の傷を治すのを、助ける。
(アドレナリン作用)
• テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、メチルエフェドリン、エフェドリン
→ 血管を収縮させて出血を抑える。
⭐︎高齢者・心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺機能亢進症では注意。交感神経系に作用する為、代謝やホルモンに影響が少なからずあり、人によって作用発現も違う為、注意が必要となっています。使用するものに含有する場合、医師に相談してもらいましょう。
•タンニン酸、酸化亜鉛、硫酸アルミニウムK、卵黄油(民間療法に近いが、医薬品に含まれてる事もある)
→ 粘膜を保護し出血を抑える。
粘膜表面に皮膜を作り、止血や粘膜をそれ以上刺激に触れないようにする。
•クロルヘキシジン、セチルピリジニウム、ベンザルコニウム、デカリニウム、イソプロピルメチルフェノールなど
→ 感染を防ぐ。
•ビタミンE (トコフェロール)→ 血行改善
•ビタミンA(レチノール)→ 傷の治りを促す
• シコン(紫根) → 新陳代謝促進、殺菌、抗炎症(余談ですがムラサキ科の植物でラテン名でボラギナケアエと言いに傷に肉を盛らせて治すという作用がある)
• セイヨウトチノミ → 血行促進、抗炎症
内用痔疾用薬の主な配合成分
生薬成分(中医参考までに)
• センナ:泻热行滞,通便,利水
・カンゾウ:甘草:补脾益气,清热解毒,祛痰止咳,缓急止痛,调和诸药。
・ダイオウ:大黄:泻下攻积,清热泻火,凉血解毒,止血,逐瘀通经,利湿退黄。
・ウコン:活血行气,通经止痛
・ボタンピ:牡丹皮:清热凉血,活血化瘀
・トウキ:当帰:补血活血,调经止痛,润肠通便
・サイコ:柴胡:疏散退热,疏肝解郁,升举阳气
・オウゴン:黄芩:清热燥湿,泻火解毒,止血,安胎
セイヨウトチノミ:中国語でトチノキ=七叶树(ただ駆虫薬っぽい事が書かれていました、西洋トチノキと効能がちょと違うみたいでした。代替医療のページがあったので見てみてください。)
・カイカ:槐花:凉血止血,清肝泻火
カイカク:槐角:凉血止血,清肝明目
→ 便通改善、炎症抑制、止血作用。

止血成分
• カルバクロム
→ 毛細血管を強化、出血を抑える。
ビタミン成分
• ビタミンE
→ 肛門付近の末梢血管の血行改善、鬱滞を改善。(余談ですが、霜焼け時の外用や内服にもビタミンE製剤が使われます。血行改善の効能)
生薬成分は大まかに、活血、水分調節、便秘解消、鎮静、抗炎症の作用があるものが選ばれる傾向にあるよう。
漢方処方製剤
乙字湯(おつじとう)
• 適応:体力中等度以上、大便が固く、便秘傾向あり。痔核、切れ痔、脱肛。
• 特徴:血行促進、消炎作用。カンゾウ・ダイオウを含む。
• 注意:長期連用や肝機能障害・高血圧には注意。
下剤系(強めの瀉法)なので、虚弱な人、胃腸が弱く下痢がちな人には、悪心、嘔吐、激しい腹痛などが起きやすい。肝障害や間質性肺炎などの重篤な副作用も報告されている為、注意。
5〜6日で治らない場合は受診をお勧めする。
芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)
•適応:体力中等度以下、冷え性、出血傾向のある痔出血。胃腸症状はない。貧血、月経異常、月経過多など。
•特徴:血行促進、止血作用。カンゾウを含む。胃腸が弱く下痢しやすい人は副作用出やすく、不向き。
•注意:1週間くらい服用して改善なければ専門医へ。
相互作用
• 外用薬+内用薬+食品(甘草など)が重なると、効果が強まり 副作用(むくみ、血圧上昇、低K血症) が出やすい。
ストレスや炎症を修復するための副腎皮質ホルモンの一つコルチゾールの所で習ったのは
記憶にあるでしょうか?
コルチゾールは体を、守ろうとするがために、血糖値を上げたり、水分保持を促してしまいます。痔のような炎症性疾患では避けて通れない副作用です。
受診勧奨
•痔が悪化し 細菌による感染症 や 出血が続く 場合、肛門がんなどの重篤な病気も疑われるため、医師の診察を勧める。
痔は恥ずかしい病気ではなく、現代では誰でもなる病気です、見えない部分で悪化させてしまうと痔瘻など手術に発展する事あります。

