医薬品の安全対策|一般用医薬品で起きた副作用事例と行政の対応

yamadap1984@
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この記事は、登録販売者試験の勉強をしている方に向けた内容ですが、「お薬の安全対策って実際どんな問題があったの?」と気になる方にも読んでいただける内容です。

医薬品の安全対策は、過去の教訓をもとに整備されてきました。今回は、一般用医薬品で実際に起きた副作用事例と、それに対する行政の対応を3つのケースで振り返ります。

アンプル入りかぜ薬 — 吸収の速さが招いた死亡事故

1959年(昭和34年)から1965年(昭和40年)にかけて、アミノピリンやスルピリンを解熱鎮痛成分として含む「アンプル入りかぜ薬」の使用により、ショックによる死亡例が計38件発生しました。

なぜアンプル剤でこれほどの被害が出たのか。それは剤形の特性に原因があります。アンプル剤は錠剤や散剤と比べて吸収が速く、血中濃度が急速に高値に達するため、通常用量でも副作用が生じやすいことが確認されました。

これを受けて、1965年に当時の厚生省が関係製薬企業に対してアンプル入りかぜ薬製品の回収を要請。さらに1970年にはアンプル剤以外の一般用かぜ薬の承認基準が制定され、成分・分量・効能・効果などの見直しが実施されました。

小柴胡湯による間質性肺炎 — 漢方薬も例外ではない

小柴胡湯(しょうさいことう)は、慢性肝炎などに用いられてきた漢方薬ですが、1990年代に入って深刻な副作用事例が相次いで報告されました。

出来事
1991年(平成3年)4月以降小柴胡湯による間質性肺炎について、使用上の注意に記載
1994年(平成6年)インターフェロン製剤との併用例で間質性肺炎の発症が報告され、インターフェロン製剤との併用を禁忌とするよう使用上の注意を改訂
1996年(平成8年)慢性肝炎患者が小柴胡湯を使用して間質性肺炎が発症し、死亡を含む重篤な転帰に至った例が発生。厚生省が関係製薬企業に緊急安全性情報の配布を指示

漢方薬は「自然由来だから安全」というイメージを持たれがちですが、副作用のリスクは西洋薬と同様に存在します。特に既存の治療薬との相互作用には注意が必要です。

なお、一般用かぜ薬でも間質性肺炎の事例が報告されています。2003年(平成15年)5月までに計26例(死亡例なし)が報告され、同年6月には一般用かぜ薬全般について使用上の注意の改訂が指示されています。

塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)含有医薬品 — 脳出血リスクと成分切り替え

塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)は、鼻充血や結膜充血の除去・鼻づまりの緩和を目的として、鼻炎用内服薬・鎮咳去痰薬・かぜ薬などに配合されていた成分です。

出来事
2000年(平成12年)5月米国で女性が食欲抑制剤としてPPA含有医薬品(日本での鼻炎用内服薬などにおける配合量よりも高用量)を使用した場合に、出血性脳卒中の発症リスクとの関連性が高いと報告。米国食品医薬品局(FDA)が米国内でのPPA含有医薬品の自主的な販売中止を要請
2000年(平成12年)11月日本では食欲抑制剤として承認されていないことなどから直ちに販売中止の必要はないと判断されたが、心臓病や脳出血の既往がある人などは使用しないよう注意喚起
〜2003年(平成15年)8月PPA含有医薬品による脳出血などの副作用症例が複数報告。厚生労働省が関係製薬企業などに対して、PPAからプソイドエフェドリン塩酸塩(PSE)などへの速やかな切り替えを指示

この事例は、海外での副作用情報が国内の安全対策に波及した典型例です。国際的な情報共有の仕組みであるWHO国際医薬品モニタリング制度の重要性を改めて示しています。

試験対策ポイントまとめ

  • アンプル入りかぜ薬 → 吸収が速く血中濃度が急上昇 → 死亡38例 → 1965年回収要請
  • 小柴胡湯 → 間質性肺炎 → インターフェロンとの併用禁忌 → 1996年緊急安全性情報
  • PPA含有医薬品 → 出血性脳卒中リスク → PSEなどへの切り替え指示(2003年)

※ この記事の内容はNotebookLMで音声化したものもあります。通勤・家事のながら学習にもどうぞ。

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