登録販売者試験 #35胃腸薬❾

1. 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
成分名
• 大黄牡丹皮湯(大黄、芒硝、牡丹皮、桃仁、冬瓜子)
適する症状
• 体力中等度以上で、腹部に熱感や腫れ、圧痛があり、便秘しがちな人の月経不順、月経困難など
• 調胃承気湯から甘草をとり、瘀血薬の牡丹皮、桃仁、消炎作用の冬瓜子。甘草が無いため作用が割と明確に出やすい。
• 体内に熱と瘀血(おけつ)がこもって腸内に炎症や膿がたまるタイプ
使用時の注意点
• 体の虚弱(体力の衰えている人)、胃腸が弱く下痢しやすい人は不向き
• 激しい腹痛を伴う下痢などの副作用が出やすい
• 使用中は他の下剤の併用を避ける
• 1週間くらい服用しても改善しない場合は専門家に相談
中医学での解説
• 性味:苦・寒
• 作用:瀉下作用で腸内の熱・瘀血を取り除く
• 適応タイプ:実熱証・瘀血証(腹部の圧痛・便秘・熱感があり舌質暗紅、苔黄)
• 注意:寒証や虚証では症状悪化の恐れあり
2. 大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
成分名
• 大黄甘草湯(大黄、甘草)
適する症状
• 体力にかかわらず広く使用できる。(便秘に伴う頭痛、のぼせ、湿疹、皮膚炎、蕁麻疹)、食欲不振、腹部膨満、腸内異常発酵、痔の症状緩和
使用時の注意点
• 体力の虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人は不向き
• 激しい腹痛を伴う下痢などの副作用が出やすい
• 使用中は他の下剤を併用しない
• 5〜6日服用しても改善しない場合は専門家に相談
• 芒硝(潤性薬)が加われば調胃承気湯、燥性が、強い場合出ることは出ても痛みがあったり、スッキリ出ない事も。
中医学での解説
• 性味:苦・寒(大黄)、甘・平(甘草)
• 作用:緩下・調和作用
• 適応タイプ:便秘に熱証・実証の傾向があるが、甘草で緩和しているため比較的幅広く使用可能
• 注意:虚寒証や長期連用は避ける
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3. 桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
成分名
• 桂枝加芍薬湯(桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草)➕大黄
適する症状
• 大黄なしだと、虚弱者の腹痛、腹部膨満感、緊張性の腹痛)
• 大黄ありだと、顔色のあまり良く無い虚弱者の便秘に対して。
• 体力中等度以下で、腹部膨満・張りがある人のしぶり腹、腹痛、下痢、便秘
使用時の注意点
• 1週間くらい服用しても改善しない場合は専門家に相談
中医学での解説
• 性味:温性(桂枝)、酸苦微寒(芍薬)
• 作用:温経散寒・緩急止痛・調和営衛
• 適応タイプ:腹部の冷えと気血の巡りの悪さで生じる腹痛や便通異常
• 注意:実熱証や便秘が強い場合には不適
4. 麻子仁丸(ましにんがん)
成分名
• 麻子仁丸(大黄、枳実、厚朴、麻子仁、杏仁、芍薬)
適する症状
• 体力中等度以下で、便が硬く塊状の便秘
• 便秘に伴う頭痛、のぼせ、湿疹、皮膚炎、蕁麻疹、食欲不振、腹部膨満、腸内異常発酵、痔など
• 腸を潤わすのに加えて、貧血や瘀血を改善。老人や虚弱者の便秘に使いやすい。
使用時の注意点
• 胃腸が弱く下痢しやすい人は不向き
• 激しい腹痛を伴う下痢などの副作用が出やすい
• 使用中は他の下剤を併用しない
• 5〜6日服用しても改善しない場合は専門家に相談
中医学での解説
• 性味:甘平(麻子仁)、苦寒(大黄)
• 作用:潤腸通便・瀉熱
• 適応タイプ:津液不足による乾燥性便秘(陰虚便秘)• 注意:湿盛や泄瀉のある場合は禁忌
その他
下痢止め:真武湯、半夏瀉心湯、人参湯、黄連解毒湯
便秘薬:桃核承気湯、調胃承気湯、潤腸湯、防風通聖散
等また漢方は別で書いていきます。
構成薬に同じものがあっても入れる量や煎じ方法が違ったりして強弱が異なったりします。
5. 下痢と便秘に関する注意
• 下痢は防御反応の場合もあり、止瀉薬で安易に止めると症状悪化の恐れ
• 脱水症状防止のため水分・電解質補給が必要
• 発熱や血便を伴う場合は感染症や炎症性腸疾患の可能性
• 便秘薬は一時的使用にとどめ、常用は避ける
• 刺激性下剤の乱用で腸管の感受性低下が起こる
