登録販売者試験 #33胃腸薬❼

腸に作用する薬には、大きく分けて次の3種類があります。
整腸薬・止瀉薬・瀉下薬の特徴と構成成分。
1. 整腸薬(善玉菌のバランスを整える)
主な目的:整腸、軟便、便秘改善。
腸内細菌のバランスを整え、便通を改善する。
主な成分と作用:
成分名 | 作用・特徴 |
ビフィズス菌、アシドフィルス菌、ラクトミン、乳酸菌、酪酸菌 | 腸内細菌のバランスを整える目的で配合される。 |
ケツメイシ、ゲンノショウコ、アセンヤク | 整腸作用を目的として配合される。 |
2. 止瀉薬(下痢止め)

主な目的:下痢、食あたり、水あたりに対し腸内環境を整える。
止瀉薬には以下のような種類があります:
収斂成分
成分名 | 作用・特徴 |
次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス、タンニン酸アルブミン | 腸粘膜に皮膜をつくって保護。ビスマスは有毒物質を分解する作用もあり。 |
同様の作用を持つ薬効成分 | ゴバイシ(五倍子)、オウバク(黄柏)、オウレン(黄連) |
使用時の注意点(重要な赤字部分含む):
• 急性の激しい下痢、腹痛、腹部膨満感、吐きけを伴う下痢の症状があるときは医師に相談。
• 長期連用で精神神経障害が現れることがあるため、1週間以上の継続使用は避ける。
• ビスマスを含む薬剤は、飲酒を避けること。
• ビスマスの長期使用により、精神症状の報告あり。1週間以上の継続使用は避ける。又飲酒により吸収が、増大し副作用出やすくなる。
• 妊婦、胃・十二指腸潰瘍の診断を受けた人、精神神経障害の既往歴がある人は使用前に医師へ相談。(血液胎盤関門を通過、潰瘍による吸収率の増加)
• タンニン酸アルブミンはまれにショック(アナフィラキシー)を起こす。
• 牛乳アレルギーの人は、タンニン酸アルブミンの使用を避ける。


止痢成分(ロペラミド塩酸塩など)
成分名 | 作用・特徴 |
ロペラミド塩酸塩 | 非感染性の下痢、腸の運動を抑制して下痢を止める。腸液分泌も抑制。 |
使用時の注意点
• 急性の激しい下痢、発熱を伴う下痢、血便、粘液便、腹痛、嘔吐を伴う場合は使用しない。感染性下痢の場合下痢を止めると治るのが遅くなったり、悪化の可能性。
• 15歳未満の小児には使用しない。乳幼児の過量投与で中枢神経障害、呼吸抑制、腸管壊死、麻痺性イレウスを起こした報告がある。
• 短期間(2〜3日間)に限って使用し、改善しない場合は医師の診察が必要。
• 便秘を避けなければならない場合、便秘症のある人、肛門疾患のある人、潰瘍性大腸炎の人は使用を避ける。
• 妊婦、授乳中の女性は使用を避ける。(乳汁移行あり)
• 眠気、めまい、視覚障害などの副作用があるため、乗物や機械の運転操作を避ける。
• 中枢抑制の増強を避けるため、飲酒は避ける。鎮痙薬との併用は避ける。
• アナフィラキシーショック、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症、イレウスなどの重篤な副作用の可能性あり。

腸内殺菌成分
成分名 | 作用・特徴 |
ベルベリン塩化物、タンニン酸ベルベリン、アクリノール | ブドウ球菌、大腸菌などの悪玉菌に作用。腸内細菌のバランスを整える。 |
使用時の注意点:
• 腸内殺菌成分の入った薬は、腸内環境を悪化させることもあるため、下痢が落ち着いたらやめ、漫然と服用しない。予防使用も、悪化を招くおそれあり。
• 妊婦の使用は避ける。
• オウバク、オウレンに含まれるベルベリンという成分が抗菌、抗炎症作用をもつ。タンニン酸は収斂作用があり、下痢を止める作用を示す。
まだまだ腸に関する薬は身近なだけにたくさんあります。次回は続きから書きます。
