登録販売者試験#20 アレルギー薬(抗炎症成分)
抗炎症成分のしくみと特徴
アレルギー性皮膚炎・鼻炎への効果と注意点
1.抗炎症成分とは?
抗炎症成分は、アレルギー反応によって生じる皮膚や鼻粘膜の炎症(赤み・かゆみ・腫れなど)を抑えることを目的に配合されます。
抗ヒスタミン成分のように「ヒスタミンをブロックする」のではなく、
炎症の根本である プロスタグランジンなど炎症物質の産生を抑える ことで症状を和らげます。「炎症」そのものを抑える役割
2.代表的な成分名とその特徴
| 成分名 | 特徴 |
| グリチルリチン酸二カリウム | 抗炎症作用に優れ、肌荒れ・湿疹・鼻粘膜の炎症に使われる。甘草(カンゾウ)由来。 |
| グリチルリチン酸 | グリチルリチン酸二カリウムとほぼ同じ。成分の記載方法の違い。 |
| グリチルリチン酸モノアンモニウム | より水に溶けやすくした製剤形。飲み薬にも使いやすい。 |
| トラネキサム酸 | 炎症やアレルギーによる腫れや赤みを抑える。抗プラスミン作用あり(止血作用も)。 |
| カンゾウ(甘草) | 漢方にも含まれるが、ここでは西洋薬的に「抗炎症成分」として配合されることがある。 主成分がグリチルリチン |
3.作用機序
• アレルギー反応により皮膚や鼻の粘膜に「炎症物質(プロスタグランジンなど)」が発生
• 抗炎症成分はこれらの炎症物質の産生や放出を抑えることで、かゆみ・赤み・腫れなどを軽減
3-1.アレルギー反応の流れ
- アレルギー刺激 →
- 皮膚・鼻粘膜で プロスタグランジンなどの炎症物質 が産生される →
- 赤み・腫れ・かゆみが発生
3-2.抗炎症成分の働き
- 炎症物質の産生を抑える
- 放出も抑える
- 結果として、かゆみ・赤み・腫れを軽減
4.使用目的と適応
4-1.鼻に対する効果
- アレルギー性鼻炎の
- 鼻づまり
- 鼻粘膜の腫れ
- 充血の改善
- • 慢性鼻炎・花粉症などの粘膜の炎症に対しても用いられる
4-2.皮膚に対する効果
- アレルギー性皮膚炎
- 湿疹
- じんましん
- 肌荒れ
5.使用上の注意点
5-1.甘草由来成分(グリチルリチン酸系)
- 長期・大量使用はNG
- 偽アルドステロン症の可能性
- むくみ
- 高血圧
- 低カリウム血症
- 他の薬(風邪薬・漢方薬など)にも含まれているため重複に注意
5-2.持病がある人(→ 使用前に医師・薬剤師に相談が必要)
- 高血圧
- 腎臓病
- 心疾患
6.販売時の説明ポイント(登録販売者として)
• 「この成分は皮膚や鼻の炎症を抑えるために入っています」
• 「甘草由来の成分は体にやさしいですが、長く飲み続けるとむくみや血圧の変化が起こることがあります」
• 「他のお薬と重なっていないかご確認ください」
• 「高血圧や腎臓病の方は、一度ご相談ください」
まとめ:抗炎症成分のチェックポイント
・アレルギーによる「炎症」をターゲットにした成分
・甘草由来のものが中心 → 作用は穏やかだが注意も必要
・長期使用・高齢者・持病のある方は慎重に案内を
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グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸を含む成分、カンゾウを含有する医薬品
(甘草の成分。風邪薬や皮膚炎治療薬、サプリなどに含まれる)
むくみや高血圧の原因にも!長期使用には注意を。
グリチルリチン酸二カリウムは、炎症を抑える作用があり、風邪薬や胃薬、皮膚炎治療薬などに広く使われていますが、実は摂りすぎると「偽アルドステロン症」という副作用を起こす可能性がある成分です。
これは、体内の電解質バランスが崩れ、ナトリウムが増えてカリウムが減少し、むくみ・高血圧・筋力低下・だるさなどの症状が現れる状態です。特に高齢者、心臓病・腎臓病・高血圧の持病がある人は、この副作用のリスクが高まります。
■ 食品にも使われているため「知らずに摂り続けてしまう」ケースも
甘草成分は、医薬品だけでなく
お菓子
清涼飲料
健康茶
サプリメント
たれ・調味料
などにも甘味料として入っています。
「体に良さそう」「天然だから安心」と思って継続的に摂ってしまうケースも多く、
無意識に総摂取量が増えてしまう ことが問題になります。
甘味料として食品にも広く使われているため、知らずに長期間摂取していることも。■ 1日40mgを超える場合は表示が必要
一般的に、
- グリチルリチン酸として1日40mg以上
摂取する製品では、表示義務があります。
つまり、裏面に 「グリチルリチン酸○mg」 と明記されている製品は
比較的しっかり甘草由来成分が入っているもの だと思ってもらってOKです。
「体に良さそうな成分でも、摂りすぎれば逆効果」
【参考文献】
厚生労働省:グリチルリチン酸等を含有する医薬品の取扱いについて
厚生労働省:「かぜ薬等の添付文書等に記載する使用上の注意の一部改正について」の訂正について
更新履歴
・2025/11/22:加筆、参考文献リンク追加
・2025/07/23:初版公開

